不妊治療から出産への現場から産婦人科医がわかりやすく解説します

産婦人科専門医による妊活ガイド

不妊カウンセラー、生殖心理カウンセラー、不妊コーディネーターってどんな人

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妊活の悩み、誰に相談すればいいのでしょうか

 日本産科婦人科学会から発表されている「生殖補助医療実施医療機関の登録と報告に関する見解」には

 生殖補助医療実施登録施設が具備すべき施設・設備基準の中の有することが望ましい施設・設備の中にカウンセリングルームがあります。

 生殖補助医療実施登録施設が配置すべき人員の基準の中の連携が望ましい要員として

コーディネーター 
 患者(夫婦)が納得して不妊治療を受けることができるように、不妊治療の説明補助、不妊の悩みや不妊治療後の妊娠・出産のケア等、患者(夫婦)を看護の側面から支援する者。 

カウンセラー
 生殖医学・遺伝学の基礎的知識, ART の基礎的知識および心理学・社会学に深い造詣を有し.臨床におけるカウンセリング経験をもち,不妊患者夫婦を側面からサポートできる者。

が取り上げられています。

 なので、体外受精をしている病院・クリニックではカウンセリングルームがあって、コーディネーター・カウンセラーがいるところが多いと思います。

 相談を受ける人にも「不妊カウンセラー」「生殖心理カウンセラー」「体外受精コーディネーター」などいろいろな肩書きの人がいます。

 それぞれ、どのような資格で、どのようなことを相談できるのでしょうか。

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不妊カウンセラー

不妊カウンセラーとは

 日本不妊カウンセリング学会が認定する資格です。

 「不妊で悩んでいる人々に対して、妊娠・出産や不妊に関する適切な情報提供活動を行い、カップルが最適の不妊治療を選択することができるよう不妊カウンセリング・ケアの実践や研究活動を行う。」と説明されてます。

  • 生殖医療に関する基礎的知識を有している
  • 不妊患者の心理・社会的問題を理解している
  • 不妊カップルの自立的決定を促すことができる
  • 患者中心の考えを理解し応用できる
  • 情報の適切な伝え方を知っており、それを応用できる
  • カウンセリングに関する基礎的知識を有しており、それを応用できる

といった能力が必要とされ、そのために日本不妊カウンセリング学会が主催する、不妊カウンセラー養成講座を3回以上受講した後で、筆記試験と面接試験に合格することで認定されます。

どんな人が不妊カウンセラーになっているか

 現在、不妊カウンセラーは約1000人です。

 看護師、助産師、保健師などの看護職の人が多く、エンブリオロジスト・臨床検査技師もいます。医師で不妊カウンセラーに認定されている人はあまり多くありません。

 その他、薬剤師・鍼灸師の人もいます。また、自分が不妊治療を受けた経験のある人がカウンセラーになっている場合もあります。

不妊カウンセラーの役割

 不妊治療を受ける人に、不妊治療の最新の情報をわかりやすく伝えることで、不妊カップルがそれぞれにとって最適の治療法を選択することを支援します。また不妊カップルの気持ちに寄り添い、傾聴しながら、時にはただ黙って、時には言葉を返しながら不妊カップル自身が考えを整理することができるようにします。

 不妊カウンセラーは臨床心理士ではないので、本格的な心理カウンセリングを行うというわけではありません。

体外受精コーディネーター

 体外受精コーディネーターとは、不妊カウンセラーと同じく、日本不妊カンセリング学会が認定する資格で、認定方法も不妊カウンセラーと同様です。

 「不妊治療において、特に体外受精や顕微授精などの高度生殖医療(ART;Assistted Reproductive technology)を受けられる人々に対して、ARTに関する適切な情報提供活動を行い、カップルが最適の不妊治療を選択することができるよう不妊カウンセリング・ケアの実践や研究活動を行う。」と説明されています。

 特に体外受精について相談にのってくれる人ということですね。

 現在、約500人の体外受精コーディネーターがいます。

生殖心理カウンセラー

生殖心理カウンセラーとは

 日本生殖心理学会が認定する資格です。

 「生殖心理カウンセラーは、日本ではまだ一般的ではない、不妊・生殖にかかわる心理的困難を抱える方への支援を担う心理臨床家のための資格です。」と説明されています。

 半年間にわたる約80時間の養成講座を受講した後、試験に合格すると認定されます。

 受講資格は「臨床心理士、及びそれと同等の心理臨床能力及び経験を持つ者」となっているので、心理学を専門とする人たちの資格ということになるます。

 2017年9月18日現在で72名しかいません。

生殖心理カウンセラーの役割

 治療に関する説明だけでなく、周りの環境や治療のストレスなどからくる心理的影響に関して、専門的にカウンセリングしてれます

生殖医療相談士

 これも、日本生殖心理学会が認定する資格です。

 生殖心理カウンセラーと同様の養成講座と試験の後に認定されます。

 受験資格は「現在不妊相談を行っている、またはこれから不妊相談を行おうと考えている医療関係者 ( 看護職、医師、エンブリオロジスト等の有資格者 )、各自治体の不妊専門相談の担当者 ( 行政職含む )」となっています。

 不妊相談において、単に治療の説明をするだけでなく、相談者の心理を理解して、それを生かして相談に答えることができるような能力を身につける資格です。

不妊症看護認定看護師

 日本看護協会が認定する資格です。

 試験を受けて合格して認定看護師教育課程の不妊看護師コースを受講し(630時間)、最終試験に合格して認定されます。

 専門学校で勉強するというレベルの資格ですね。

こんな能力が期待されるとのことです(日本生殖看護学会ホームページより)。

 現在、171人が認定されているようです。

まとめ

 生殖医療に関わる資格にもいろいろなものがありますね。通っている病院・クリニックにも今回ご紹介した資格を持った人がいるのではないかと思います。皆さんの相談を受けるために資格を取った人たちです、なにかあれば躊躇しないで相談してください。

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