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AMHと流産の関係は?【産婦人科医が解説】

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AMHが低い人は自然妊娠した時の流産率が高いようです

 「AMH」は卵巣の予備能を反映していると言われています。卵巣の予備能とは、わかりやすく言うと「卵巣に排卵する力がどのくらい残っているか」ということです。

 30代後半の年齢になってくるとAMHが気になってくるかと思います。

 AMHについてはこちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

  AMHと流産の関係を調べた論文が発表されたので、ご紹介します。

AMHが低いと流産率が高くなる

 「ファーティリティ アンド ステリリティ」の2018年6月号に発表された論文です。

 自然に妊娠した30~44歳の女性533人を調べました。妊娠20週前に流産になったかどうかでAMHを比較しています。

 不妊症・多嚢胞性卵巣症候群・子宮内膜症などの人が除いています。

 AMHが低くなるろ、流産率が高くなると言う結果でした。

 AMHが1(ng/mL)以上の人の流産率が22%、0.4より高くて1未満だと24%、0.4以下だと50%になります。

 AMHが0.4以下の人は1以上の人と比べて、流産率が2.2倍になっていました。

AMHが高いと化学流産の可能性が高くなる?

 化学流産とは、妊娠反応がプラスになったけれども、胎嚢が見えないうちに流産になってしまうことです。妊娠4週(次の生理がくる予定日くらいということですが)には妊娠反応がプラスになりますが、まだ胎嚢は見えません。妊娠5週近くになると胎嚢が見えてきますが、この前に流産になってしまうのが化学流産です。

 妊娠検査をしていなければ、ちょっと生理が遅れたかなくらいで、妊娠に気づかないことになります。

 この論文では、化学流産になった人のAMHの平均は5.0ng/mLとかなり高かったです。

 こちらの論文では、AMHが2.5ng/mLより高いと、流産率が高くなると報告しています。

流産率が高くなるのはなぜ?

 AMHが流産率に関連している理由はわかっていません。

 卵子の質・状態が影響している可能性も考えられていますが、証明されていません。

AMHの値と妊娠するまでの期間は関係がない!

 同じ研究者たちが2017年10月に「JAMA」(かなり有名な雑誌です)に論文を発表しています。

 30~44歳の女性991人を調べました。妊娠を考えてからまだ3ヶ月以内の女性で、多嚢胞性卵巣症候群や子宮内膜症と診断された人は除いています。

 上で紹介した流産率との関係を調べた論文と、対象者が重なっていると思われます。

 6ヶ月以内に妊娠した人の割合が、AMHが0.7ng/mL未満の人は65%、0.7ng/mL以上の人は62%で差がありませんでした。

 12ヶ月以内での妊娠でも、84%と75%で差がありませんでした。

 むしろ、AMHが低い人の方が少し妊娠率が高いくらいですね。

お気づきになった方もいるかもしれませんが、同じ人を対象にした研究で、AMHの値は妊娠しやすさには関係がないが、流産には関係があるという結論が出ています。

AMHが低いと流産率が高くなるのが卵子の質の問題とすれば、AMHが低い人は妊娠率も悪くなりそうですが、そうではありません。単純に卵子の質の問題だけではないようです。

 排卵が順調だけれども不妊の人(原因不明の不妊症)277人と、不妊治療を必要としていない人226人のAMHの値を比較したけれども、差がなかったという論文もあります。

 AMHの値で不妊なるかどうかは予測できないということです。

現時点でのAMHの評価

 これから妊娠しようとする人にとっては

  • 今後の妊娠しやすさには関係がない
  • AMHが低いと、流産率が高くなるかもしれない

ということになると思います。

 AMHについてはこちらの記事も参考にしてください。

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