体外受精 治療

体外受精の採卵の時にはどんな麻酔をしていますか?

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採卵の時の麻酔について産婦人科医が解説します

 採卵の時は膣の壁を通して卵巣に針を刺します。痛そうですよね。

 初めて体外受精を受ける方は、採卵の時の痛みが心配だと思います。

 採卵を受けたことがある方の中でも、かなり痛かったので、麻酔方法についてよく知りたいという方がいると思います。

 みなさんが気になる、採卵の時の麻酔について解説します。

採卵

採卵の時に麻酔は必要か

 まずはここから考えてみましょう。

 ほとんどの人を麻酔をしないで採卵している病院もあります。不妊治療専門の体外受精を数多く行なっているクリニックが多いと思います。

 麻酔をしなければ、手間がかからず多くの採卵を効率的に行うことができます。

 痛みが少ない針を使っているので麻酔は必要ないと言っているクリニックもありますが、髪の毛くらいの太さの針ならまだしも、採卵に使う針で、痛みがまったくないということはまずありません。

無麻酔のメリット

麻酔の副作用がない

 麻酔をしないので、当然麻酔の副作用はありません。これは大きなメリットです。

 麻酔の副作用についてはあとで解説します。

 麻酔がさめたあと、フラフラする・ムカムカするといったこともありません。

早く帰えることができる

 採卵後に出血の状態などを確認する必要はありますが、麻酔をした時よりも早く帰れます。

費用が安くなる

 採卵の費用に麻酔も含まれている病院が多いと思いますが、麻酔が別料金という病院もあります。

 そうのような病院では費用が安くなります(2~3万円くらいでしょうか)。

無麻酔のデメリット

痛い

 まず最初に針が膣の壁を突き抜ける時、一瞬ですがこれが一番痛いです。

 卵巣に刺さるのはあまり痛くないのではないかと思います。というか膣の壁を突き抜けるのと卵巣に刺さるのはほぼ同時のことが多いと思います。

 卵胞液を吸い出した後、卵胞に食塩水を入れたり吸ったりを繰り返して卵子を取り残さないようにするのですが、卵胞に食塩水が入った時に痛みを感じる場合があります。

 卵胞が複数ある時は、卵巣の中で針を動かして次々と卵胞を刺していきます。この時痛いことがあります。

 痛みの感じ方は人それぞれで、「思ったより痛くない。これなら我慢できる」と言う人もいますが、痛くて体をよじってしまう人もいます。

 もうひとつ、痛みの強さは採卵する医者の腕にもよると思います。上手に素早く採卵を進めると痛みは少ないと思います。

 ちなみに私は上手です笑

採卵がやりにくい

 痛くて動いてしまうと採卵がやりにくくなります。場合によっては針が動いてしまって危険です。

 採卵を受ける人が痛がっていると、刺す方としても、小さめの卵胞までは刺さないで早めに終わりにしようと思うこともあります。

無麻酔でするのはどんな時?

  • 痛みに強い方だと思う人
  • 卵胞の数が少ない人

 卵胞の数については、何個までというのは難しいですが、ぜいぜい多くて5個くらいまで、普通に考えると3個くらいまでかと思います。

麻酔はどんな麻酔があるの

プロポフォール

 この薬を使っている病院が多いのではないかと思います。私の病院でもこれを使っています。

 マイケル・ジャクソンの主治医がマイケルの不眠のために使って、マイケルを死なせてしまった薬として有名になりました。

 もちろん、睡眠薬ではなく麻酔薬です。

 体重に合わせて量を調節して、採卵している間もポンプで少しづつ注入して効果を持続させます。

 麻酔といっても、息が止まって人工呼吸をするわけではありません。

 意識が完全には無くならない人もいますが、痛みを強く訴える人は少ないです。 

 副作用については添付文書を参考にしてください。

 吐き気の頻度は0.1~5%未満となっています。

プロポフォール添付文書

ペンタゾシンとセルシン

 ペンタゾシンは強い痛み止めです。セルシンは睡眠薬です。

 このふたつを一緒に使う方法が、以前から静脈麻酔として使われていました。

 私の病院でも数年前まではこれを使っていました。

 ぐっすり眠る人もいるのですが、プロポフォールと比べると痛くて暴れる人が多かった印象です。

 最近では使っている病院は少なくなっていると思います。

傍頸管ブロック

 子宮頸部(頸管)の周り(採卵の時に針が刺さるところ)に局所麻酔を注射して、痛みを軽くする方法です。

 海外では行われているようですが、日本ではほとんどやっていないと思います。

 卵巣で針を動かす時の痛みにはあまり効果がないと思います。

静脈麻酔と局所麻酔の比較

 海外では局所麻酔(傍頸管ブロック)も使われているので、静脈麻酔との比較を検討した論文がいくつかあります。

 妊娠率・生児獲得率は同じです。採卵時の麻酔の種類によって妊娠率に差が出るということはありません。

 痛みの感じ方は局所麻酔の方が強いようです。やはり膣壁以外の痛みを抑えることができないからだと思います。

 採卵数は静脈麻酔の方が多いです。痛みを訴えることが、採卵手技に影響するからだと思います。

 これらの研究より言えることは、麻酔の種類で妊娠率は変わらない、しっかり麻酔をした方が採卵数が多くなるということです。

採卵

あなたが採卵するときはどうしますか?

 プロポフォールで麻酔をすることが多いと思います。

 卵胞数が少ない時には、多少痛くても採卵数への影響は少ないと思うので、無麻酔もあると思います。

 いくつまでなら無麻酔でOKというのは難しいですが、2~5個くらいまででしょうか。5個は多いかもしれません。

 もっと多くても無麻酔で痛みをあまり感じなくてすむ人もいるかもしれません。

 個人の痛みの感じ方、採卵する医師の腕などによると思います。

 動いてしまうくらいの痛みを感じるのであれば、麻酔をした方がいいと思います。

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