新型コロナウイルス

妊活中・妊娠中に新型コロナウイルスに感染してしまったら!〜産婦人科医が解説します

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妊娠検査

妊娠中に新型コロナウイルス感染すると重症化しやすい

妊娠していない女性と比べて、妊娠中に新型コロナウイルスに感染した女性は重症化する割合が高いことがわかってきています。

もともと妊婦は(特に妊娠後期)肺炎になると重症化する割合が高いとされていて、新型コロナウイルスに限られたことではありません。

妊娠中に使えない薬があるというのも理由のひとつだと思います。

新型コロナウイルの感染の妊娠への影響を解説します。

妊娠中に新型コロナウイルスに感染してもほとんどの人は症状がないか軽症で入院する必要がなく回復する

まず大前提として、妊娠中に新型コロナウイルスに感染してもほどんどの人(90%以上)は症状がないか、軽症で入院する必要がなく回復して、無事に出産しています。

妊娠中に新型コロナウイルスに感染するとどのくらい重症化しやすいのか

感染妊娠女性 感染非妊娠女性
人工呼吸 0.29% 0.11%
ECMO 0.07% 0.03%
死亡 0.15% 0.12%

新型コロナウイルスに感染して症状が出た人が、人工呼吸やECMOをになったり、死亡したパーセントです。

妊娠している時にコロナウイルスに感染すると重症化するリスクは高くなります。高いと言っても1%以下ではありますが。

妊娠している女性は20歳から45歳くらいの人になるので、もともと重症になる人はとても少ないです。

重症化しやすいリスク因子(年齢・肥満・高血圧・糖尿病など)は妊娠している人と妊娠していない人で変わりはありません。

新型コロナウイルス感染の妊娠への影響は?

いまのところはっきりわかっていません。

感染というのを、PCRなどの検査が陽性になった人とするか、症状がでた人にするかによってデータが変わってくると思います。

症状があるといっても、軽症と重症では違います。

調べても、この辺をきちんと区別しているデータはありませんでした。

妊娠への影響の最新データ(2021年1月15日)

2021年1月15日の「JAMA Internal Medicine」に発表されているアメリカのデータです。

有名なジャーナルでの大人数のデータは、これが最新かと思います。

新型コロナウイルス陽性の妊婦6380人と、陰性の妊婦40万人を比較しています。

陽性 陰性
帝王切開率 28.9% 27.5%
早産率 5.2% 4%
死産率 0.5% 0.3%
妊娠高血圧腎症 8.8% 6.8%
血栓症 0.3% 0.1%
人工呼吸 1.3% 0.1%
死亡 0.1% 0.005%

新型コロナウイルス陽性の妊婦は、妊娠中の異常のリスクが高くなるようです。

早産率が高くなるというデータが多いですが、新型コロナウイルスが陽性だということで、他に理由がなくても帝王切開などで早めに分娩にしてしまうことがあるのも原因になっていると思われます。

新型コロナウイルスに感染すると、血管に炎症を起こして血栓ができやすくなると言われています。妊娠高血圧腎症や血栓症のバーセントが高くなるのは、そのためと考えられます。

この報告は、新型コロナウイルス陽性の妊婦としか書いていないので、症状がない人・軽症な人・重症な人がどのくらいの割合なのかわかりません。新型コロナウイルス陽性でも症状のない場合にどのくらいリスクが高くなるかというのはわかりません。

死産率が高くなるのは入院が必要になるくらいの症状が出た場合です。

リスクが高くなるといっても、実際のパーセント数は低いです。

帝王切開をする必要があるか

2021年1月15日の「JAMA Internal Medicine」のデータでは新型コロナウイルス陽性だと28.9%、陰性だと27.5%と、陽性の方が帝王切開率が高くなっています。

新型コロナウイルス陽性だからといって、帝王切開をしなければならないということにはなっていません。新型コロナウイルスの感染の症状が重くて帝王切開が必要になるということはあり得ます。日本では、新型コロナウイルス陽性というだけで症状がなくても帝王切開したという話を聞いています。

いまのところ日本では、分娩近くに新型コロナウイルスが陽性になると、症状がなくても帝王切開になることが多いのではないかと思われます。

胎児への影響

子宮内の胎児に感染することはあるのか

新型コロナウイルスに感染した妊婦から生まれた赤ちゃんの1%くらいに子宮内での感染が疑われる検査結果が出ているようです。

妊婦に症状があるかどうか、検査法の違いなどで、データにはかなりバラツキがあります。

特に重症の感染になった場合は、子宮内の胎児に感染する可能性が出てくるようです。

分娩後に感染した場合も含めると、新型コロナウイルス陽性の妊婦から生まれた赤ちゃんの3%くらいが新型コロナウイルス陽性になるようです。

胎児・赤ちゃんへの影響

新型コロナウイルス陽性妊婦から生まれた赤ちゃんに先天異常が多いというデータはありません。

妊娠初期に陽性になっても、流産率が高くなるというデータはありません。

多くの論文で、新型コロナウイルスが陽性になった赤ちゃんでも、重症な症状が出るのはまれと言われています。

まとめ

  1. 妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると重症化するリスクが高くなる
  2. 妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると早産・妊娠高血圧腎症・血栓症などのリスクが高くなる可能性がある
  3. 新型コロナウイルスが陽性になっても、帝王切開をする必要はない(日本では主治医の判断による)
  4. 子宮内で胎児に感染したを思われる報告があるが、まれ
  5. 重症感染症でない限り、胎児・赤ちゃんに異常を起こすのはまれ

妊娠中に新型コロナウイルス陽性になっても、ほとんどの人が症状がないか軽症で、妊娠・分娩・赤ちゃんへの影響もないと思われます。

パーセントは高くなですが、妊娠中は重症化するリスクが高くなるので、予防には十分に注意してください。

今後データが増えてくると、今回ご紹介した結果が変わってくるかもしれません。新しいデータが出たら紹介します。

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