体外受精 治療

胚移植後の黄体ホルモン補充〜内服と膣用で効果に違いはある?【産婦人科医が解説】

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デュファストンの内服と膣用の黄体ホルモン剤は胚移植後の妊娠しやすさは変わらない

 胚移植後の黄体ホルモン補充には筋肉注射が広く使われていましたが、最近は膣用の薬を使うところが多くなっていると思います。

 黄体ホルモンの薬には以前から内服の薬もあります。

 内服薬ってなんとなく効きが悪いというイメージがありますよね。確かに内服薬は腸からの吸収や肝臓での分解の問題があります。

 国内では胚移植の後の黄体ホルモン補充を内服薬だけでやっている病院というのは、ほとんどないと思います。

 ただし実際には、内服と膣用薬で妊娠率などへの効果は変わりがないという研究が多いです。

 いつものように、多くの論文をまとめた研究をご紹介します。

黄体ホルモン3

内服の黄体ホルモン

 黄体ホルモンの薬には、天然型と合成型があります。

 天然黄体ホルモンは自然な効果が期待できますが、内服した場合、吸収が悪く肝臓ですぐ分解されてしまうので、血液の中に取り込まれるのは10%くらいと言われています。注射や膣用として使うのにはよいですが、内服では効果が出ません。

 今回の研究で使われている内服の黄体ホルモン薬は、日本では「デュファストン」という名前で販売されている、ジドロゲステロンという黄体ホルモン薬です。

 黄体ホルモン・卵胞ホルモン・男性ホルモンは構造が似ているので、合成した黄体ホルモンは、卵胞ホルモンや男性ホルモンの作用を持ってしまうことがあります。卵胞ホルモンや男性ホルモンの作用があると、妊娠しにくくなったり胎児に影響が出る可能性があります

 デュファストン(ジドロゲステロン)は効能書きに「ジドロゲステロンは,経口で天然黄体ホルモンの持つ自然な黄体ホルモン作用を示すレトロ・プロゲステロン製剤である.卵胞ホルモン,男性ホルモン等のホルモン作用は認められず,排卵抑制作用や基礎体温上昇作用のない合成黄体ホルモン剤である」と書いてあります。

 胚移植後の黄体ホルモン補充に適した黄体ホルモン薬と考えられます。

膣用の黄体ホルモン

 膣用の黄体ホルモンの薬についてはこちらで詳しく解説しています。

progesterone
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 膣用の黄体ホルモンの薬は膣から直接子宮内膜に働くことができます。腸からの吸収や肝臓での分解の問題がないので、天然型黄体ホルモンが使われています。

 胚移植後には膣用の黄体ホルモンを使っている人が多いと思います。

内服と膣用の比較

 胚移植後に、ジドロゲステロン(デュファストン)を1日20~40mg(4~8錠)内服した人と、膣用ホルモン薬(ウトロゲスタンなど)を1日600~800mg使った人を比べました。

内服 膣用
妊娠率 32.3% 28.4%
生児獲得率 26.6% 23.6%
流産率 13.1% 16.9%

 以上の比較で、内服と膣用で差がなかったと結論されています。

 膣用の黄体ホルモンの方が、効果が高いイメージがあったのですが、意外にも効果は同じということでした。

 膣用の黄体ホルモンと注射の黄体ホルモンでは効果に差がないというお話はこちらでしました。

黄体ホルモン
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 注射の場合は筋肉注射なのですが、痛いですし、注射したところが赤くなったりすることがあるので、効果が同じなら違う方法がいいですよね。

膣用の薬のよくない点としては

  • 入れるのが難しい・痛い
  • おりものが多くなってヒリヒリする
  • 性交渉を控えた方がよい

などがあります。

 内服薬(デュファストン)では、「主な副作用は悪心0.5%(17件),食欲不振0.2%(7件),嘔吐0.2%(6件)等の消化器症状であった。」と効能書きに書いてあります。印象としてもムカムカする人はもう少し多いと思いますが、内服が一番手軽に使えてよくない点も少ないと思われます。

 あと費用の面でも、膣用の薬は1日1000円くらいかかりますが、内服だと1日140~280円くらいです。

効果は変わらないみたいだけど...

 多くの論文が効果は変わらないと結論していることから、かなり信頼性のある結論といえるようです。

 でも、実際に胚移植後に内服の黄体ホルモンのみを使っている病院は少ないと思います。

 私自身も、効果が同じなら内服でもいいかなと思いながらも、やっぱり膣用の黄体ホルモンを使っています。

 科学的に言えば内服でもいいのだと思います。

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