体外受精 治療

胚移植の後に使う膣用の黄体ホルモン剤の効果は注射と比べてどう?

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膣用の黄体ホルモン剤でも妊娠しやすくなる効果は変わりありません

 採卵の後に使う天然型黄体ホルモンの薬として、錠剤・カプセル・ゲル・座薬などいろいろなタイプの膣用の薬が使えるようになりました。

 今までは、筋肉注射を使っていた病院が多かったと思います。

 膣用の薬は、病院に通わなくて良い・痛くないなどのメリットがあります。

 でも、なんとなく注射の方が効果は強そうですが、どうなのでしょうか?

黄体ホルモン

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膣用の薬と筋肉注射の違い

子宮内膜の黄体ホルモンの濃度

 子宮摘出の手術を予定している人に、術前に黄体ホルモンの膣用の薬もしくは筋肉注射を使って、血液と、取った子宮の子宮内膜の黄体ホルモンの濃度を調べた研究があります。

 血液の濃度は膣用の薬:筋肉注射が4.132.3だったのに対して、子宮内膜の濃度は膣用の薬:筋肉注射が1.4:0.4でした。

 血液の濃度は筋肉注射が8倍くらい高いのに、子宮内膜の濃度は膣用の薬の方が3.5倍高くなりました。

 膣用の薬の方が子宮内膜にはよく効くし、血液濃度が高くならない分、副作用が少なくなるのではないかと考えられました。

妊娠しやすくする効果

 多くの論文をまとめた研究の結果がいくつか発表されていますが、いずれの研究でも、膣用の黄体ホルモン剤と筋肉注射の黄体ホルモン剤で、体外受精の妊娠率は変わらないと結論しています。

 膣用の黄体ホルモン剤でも妊娠率は変わらないと考えていいと思います。

膣用の黄体ホルモンの量はどのくらい必要

それぞれの膣用黄体ホルモン剤の効能書きには1日の使用量として

  • ルティナス膣錠 200~300mg
  • ウトロゲスタン膣用カプセル 600mg
  • ワンクリノン膣用ゲル 90mg
  • ルテウム膣用座薬 800mg

となっています。筋肉注射と効果が関わらないと考えられる量で設定されているので、効能書き通りの使えば問題ないと思います。

 ワンクリノンだけ量が少ないように思いますが、ワンクリノンは子宮内膜に入り込む効率が良いので、90mgで筋肉注射と同じ効果があることが証明されています。1日2回で180mg使っても1回の90mgと妊娠率は変わらないというデータがあります。

黄体ホルモン補充はいつから始めるのがいいの?

 黄体ホルモンは受精卵が子宮に着床しやすい環境を作る働きをしています。具体的には子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態にするということです。

 子宮内膜がちょうどいい状態の時に着床することが重要なので、黄体ホルモンを始めるのが早すぎても遅すぎてもよくありません。

 黄体ホルモン補充を始めるタイミングを研究した論文がいくつかあります。採卵前のHCGを注射した日に黄体ホルモンを始めるのは早すぎてよくないようです。採卵の6日後から始めるのは遅すぎでダメでした。

 採卵の翌日から始めることが多いと思いますが、採卵当日から採卵2日後(新鮮胚移植の日)の間に始めれば妊娠率は変わらないようです。

いつまで続けるか

 妊娠4~5週(妊娠反応がプラスになった時)でやめるのと、それ以後まで続けるので妊娠率に差がなかったという論文が多いです。

 膣用の薬のほとんどは、採卵日から始めて妊娠12週まで続ける(ウトロゲスタンは11週まで)と効能書きに書いてあります。

 胎盤で黄体ホルモンが作られるようになるのが妊娠8週くらいなので、念のため12週くらいまで続ければ安心ということです。

まとめ

 膣用の黄体ホルモン剤は筋肉注射の黄体ホルモン剤と比べて、効果は同じです。

メリット

  • 病院に通わなくて良い
  • 痛くない

デメリット

  • 費用が高い
  • おりものが多くなる

 日本ではまだ筋肉注射もしくは膣用剤と筋肉注射の併用をしている病院が多いと思いますが、今後は膣用剤のみで黄体ホルモン補充をする病院が増えていくと思います。

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