体外受精

体外受精の排卵誘発法〜アンタゴニスト法は妊娠率が低い【産婦人科医が解説】

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ロング法とアンタゴニスト法の比較をまとめた論文を紹介します

 アンタゴニスト法は、

  • 排卵誘発剤の必要量が少ない
  • 卵巣過剰刺激症候群になりにくい

といったメリットがあると言われていますが、一方で妊娠率は低くなるのではという懸念がありました。

 「ヒューマン・リプロダクション・アップデート」に発表された、ロング法とアンタゴニスト法を比較した論文をまとめた報告をご紹介します。

IVF

やはりアンタゴニスト法は妊娠率がやや低いようです

 2017年7月に発表された、50の論文をまとめた報告です。

 ロング法の妊娠率が28.4%、アンタゴニスト法の妊娠率が25.8%でした。

 生児獲得率は、ロング法が25.7%、アンタゴニスト法が22.6%でした。

 それほど大きな差ではありませんが、アンタゴニスト法だと約1割妊娠率が低くなるようです。

 多くの論文を集めた研究なので、ある程度の信頼性があります。

多嚢胞性卵巣症候群の人の場合は、妊娠率に差がありません

 多嚢胞性卵巣症候群の人だけで調べると、ロング法の妊娠率が37.6%、アンタゴニスト法の妊娠率が36.8%で差がありませんでした。

体外受精の時の排卵誘発に対する反応が悪い人の場合も、妊娠率に差がありません

 体外受精の時に毎日排卵誘発の注射をしても、卵胞が3個以下しかできないような反応が悪い人だけで調べると、ロング法の妊娠率が20.8%、アンタゴニスト法の妊娠率が19.5%で差がありませんでした。

 もちろん卵巣の反応が悪い人は、どちらの方法でも妊娠率が低いです。

卵巣過剰刺激症候群は少なくなります

 アンタゴニスト法は卵巣過剰刺症候群になりにくいと言われていましたが、この研究の結論はどうでしょうか。

 卵巣過剰刺激症候群になる頻度は、ロング法が7.5%、アンタゴニスト法が4.0%で、アンタゴニスト法の方がかなり低くなっています。

 特に、多嚢胞性卵巣症候群の人だけで見ると、ロング法が12.4%、アンタゴニスト法が5.5%で、アンタゴニスト法だと卵巣過剰刺激症候群が約半分になります。

 やはりアンタゴニスト法は卵巣過剰刺激症候群になりにくいようです。卵巣過剰刺激症候群のリスクの高い多嚢胞性卵巣症候群の人はアンタゴニスト法がいいですね。

アンタゴニスト法の妊娠率が低い理由は?

 これは、はっきり言ってよくわかっていません。

 この研究では2つの理由を考えています。

 ひとつめは、アンタゴニスト法だとLHサージ(排卵)が起きてしまうことが多いからということです。

 実際に、LHサージが起きてしまうのはアンタゴニスト法だと8%、ロング法だと1%という報告があります。LHサージについてはこちらを参考にしてください。

 LHサージが起きると、排卵が起こり、ホルモンの環境が変わってしまうので、良い卵子を採卵できなくなってしまいます。

 ふたつめは、アンタゴニスト法の場合、自分の卵巣からFSHが出るので、これが排卵誘発の注射とかみ合わないと、卵胞の発育や卵子の質に悪影響を与えてしまうというものです。

 実際にこの研究でも、アンタゴニスト法の方が採卵数が少なかったという結論になっています。

多嚢胞性卵巣症候群の人や卵巣の反応が悪い人はアンタゴニスト法!

この研究では

  1. 初めての体外受精の時は、より妊娠率の高いロング法が第一選択となる
  2. 多嚢胞性卵巣症候群・卵巣の反応が悪い人(AMHが低い人)はアンタゴにスト法を第一選択としてよい

という結論になっています。

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